YOUは何しに日本へ?②
前回の続きです。まだ見てない人は下記リンクから見てきてください。
seijin-dansei-no-ippanteki-blog.hatenablog.com
前回の続きからです
ザビエルからの手紙を国王がとっても楽しみにしていたけど、それはなぜなんだろうか?それははたしてどんな手紙なんだろうか?という話だったね
私は、国王さまがキリスト教信者だったから、ザビエルから「アジアで信者が増えてます!」って手紙が来ていて、それが楽しみだったんじゃないかなって思ったよ!
うんうん、じゃあ実際にザビエルが国王に送っていた手紙をいくつか見てみようか
もしインド総督が私たちの聖なる信仰を増大させないとしたら、(彼を)次のように処罰してください。
彼がポルトガルへ戻ったら、全財産を没収し、さらに彼を長い間牢獄に入れる、と。
以上について、いかなる弁解も認められないものとして、彼の迷いを解いてください。というのは布教の邪魔をすることでの弁解は認められるべきではないからです。
セイロン王についてご報告します。
この国王はセイロンにおいて神の大いなる敵であることをはっきりとご承知ください。
この王は(陛下によって)保護されており、陛下の保護のもとに可能な限りの悪事を行っています。結局、陛下はインドにおいてキリスト教の信仰の増大ではなく、インドのあらゆる富を奪い所有することに熱心である、ということです。
ディオグオはトリスタンの息子です。トリスタンは20年間常に船長を勤め、彼と息子の財産を費やしましたが、その奉仕に対して何らの報酬も得ることがありませんでした。トリスタンはインドでの海上戦でイスラム教徒に殺されました。
息子のディオグオもその戦いでよく戦い、同地へ行った最大の船の船長でした。そして持参した銃砲で多くの敵船を破壊し、海の底に沈めました。彼が伴ったインド人兵士は銃で多くの敵を殺し、彼は財産を大いに費やしました。
国王陛下は彼と彼の父親の奉仕に恩恵を与えるべきです。
ドワルテはマラッカにおいて商務官として勤務し国王に大いに奉仕してきました。
彼は陛下の財産を監視し、商人たちを援助し、当事者たちの公正を守り、国王陛下の国家に属するものであるという姿勢を示しています。
国王陛下をご覧になれない人々に対して、陛下の徳や力を示すことができる忠実な部下を持つことは国王にとって名誉なことです。ドワルテはそのような人々のうちの一人ですので、国王陛下は彼のとても良い奉仕のために多くの名誉と恩恵を与えられるべきです。
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思った手紙と全然違うよ????
あんまり「キリスト教信者が増えてます!」って手紙じゃなさそうだね
じゃあこれらの手紙は何について書かれた手紙なんだろうか?
なんだか「こんないい人がいました!」「こんなダメな人がいました!」ってチクってる手紙みたいだよ?
そうだね、ザビエルがなんだか人事評価みたいなことをしてるね
実はザビエルはポルトガル国王からある任務を任されていたんだ
国王からの任務?なんだかかっこいい!
そう聞くと確かにかっこいい感じだね
じゃあどんな任務を任されていたのか見てみようか
ザビエルが乗船する前、国王は彼を呼び寄せ、二人だけで話し、次のことを切に頼んだ。
すなわち、アジア植民地の要塞を訪ね、彼が目にする乱れを正し、解決するための方法を調べ、神と国への奉仕となると思われるすべてのことについて、彼の手紙によって国王に報告するように、と。
ん?どういうこと?
つまり、ザビエルは「ポルトガルが持っていたアジアの植民地の監視」という任務を任されていた、ということなんだ
なんだかザビエルっぽくない感じ…
でも「植民地」ってなに?
たしかに、ザビエルの聖人的なイメージからはかけ離れている一面かもしれないね
そうだね「植民地」とかちょっと難しい言葉が出てきたから確認しておこうか
実はこのころのヨーロッパは「大航海時代」と呼ばれる時代だったんだ
大航海時代…!なんだかかっこいい響き!
ここで大航海時代について説明すると長くなっちゃうからこの動画でざっと確認してきてね
見てきたよ!ヨーロッパの人たちが世界中にとっても航海したから大航海時代なんだね!
そうだね、アジアで採れる香辛料等の確保やキリスト教の布教といった目的からヨーロッパの国々が世界中に進出していったのが大航海時代なんだ
でも国を亡ぼしちゃったり、ものを盗ったり、人を強制的に働かせたりなんだかかわいそうだったな…
たしかにそうだね、動画にもあったけど過酷な労働やヨーロッパから持ち込まれた伝染病の蔓延で、アメリカ大陸にもともといた人たちがたくさん死んでしまったりしたことでアメリカ大陸での労働力が不足すると、ヨーロッパの人たちはアフリカ大陸の人たちを奴隷として連れてきて働かせたりしたんだ
ひどい!
これを奴隷貿易と言って、なんと19世紀まで続いていくことになるんだ
現在の黒人差別問題にもつながる大きな問題なんだよ
前に「Black Lives Matter」ってのが大きな話題になったけど、こんなに昔から続いている問題だったんだ!
大航海時代とは、ヨーロッパの人が世界中で悪行を重ねていた時代ともいえそうだね
さてここでちょっと考えてほしいことがあるんだけど、さっき大航海時代が始まった理由の1つに「キリスト教の布教」という目的があったことは話したね
じゃあどうして神の教えを広めるという崇高な目的で始まった大航海時代にこんなひどいことができるんだろう?
たしかに…どうしてだろう…
はじめは「みんなにキリスト教を教えてあげよう!」って感じだったけど、時代が進んでいく中でだんだん最初の目的を忘れていっちゃった…とか?
なるほどね
じゃあ1つ情報をあげようか
アメリカ大陸到達で有名なコロンブスだけど彼の乗っていた船の名前は「サンタマリア号」、つまり「聖母マリア号」、キリストのお母さんの名前を冠しているってわけだ
コロンブスの航海は宗教的意味合いがかなりつよいものだったことが分かるね
でもそんなコロンブスの率いた軍勢は数万ものインディアンを虐殺しているんだ
なんか英雄みたいな人だと思ってたのにがっかりって感じ…
キリスト教っぽい船の人たちがひどいことをしてるってことは「キリスト教を伝えよう」ってことを忘れてるってわけでもなさそうだし…
じゃあ、なんでそんなひどいことができたの????
なんだか不思議だよね
大航海時代に「キリスト教の布教」と「侵略的行為」がなぜ共存できたのか
そのカギは「死後の救済」というところにあるんだ
「死後の救済」?
うん、キリスト教では死後の世界*6に最後の審判があるんだったね
うん、とっても有名な絵だね
こんな風に最後の審判があって、生前犯した罪などによって天国に行けるか地獄に行くかが分かれるんだったよね
毎日いい子にしているかが勝負の分かれ目…!
サンタさんと一緒だ!
そうだね笑
サンタさんもキリスト教の聖人がモデルだし近いものがあるのかもね
ここで大切なのは①救済は死後に行われるということ②キリスト教を信仰していない人は天国に行けないこと、この2つ
つまりヨーロッパの人たちは世界中の人にひどいことをしても、それは世界中の人をキリスト教徒にして死後に救済を得られるようにしてあげるため(彼らのためになること)だし、その過程で彼らが奴隷になったり、国が滅ぼされたり、死んでしまったりしても、それは生きている間での苦しみであって「死後の救済」というもっと大きなことに比べたら大したことないじゃない、という論理が働いているんだ
なんだか言ってることが昔日本にあった新宗教団体みたい…
そうだね、「死後の救済」というのは今も昔も悪いことを正当化するのに便利な論理なんだ、本来はもちろんそんな意味合いじゃないのだけれど
大航海時代にあったひどいことは「キリスト教の布教」って目的とくっつきながら、「良いこと」として行われていたんだね
でもそう考えると、ザビエルとかキリスト教の人たちがなんだかとっても怪しく見えてきたよ?
そうだね、「宗教」と「侵略行為」が矛盾なく結びついていた時代に活躍していた人物、それがザビエルなわけだね
しかも彼はヨーロッパの国が侵略的行為によって獲得した「植民地」の監視という役割も持っているんだったね
そうだった!ポルトガルの王様に頼まれてたんだったね!
そうなってくるとますます怪しい!?ザビエルは悪い人なの???
どうだろうね、じゃあ次回はなんだか怪しく見えてきたザビエルやその周りの人たちが実際どんなことを 言っていたのか、やっていたのかを見ていこうか
は~い!
~続く~